秘湯ツーリングレポート 長野県奈川温泉
2004年6月8日〜9日
GS再び洗車予定の千葉の鈴木
  歩道橋の上の空は青く晴れ渡っていた。

朝9時に談合坂SAの待ち合わせだが、1週間前、ヤフーオークションにてゲットしたR69Sを見ていた私は「何かある」と思わざるをえず、早めの朝5時に家を出た。

そして家を出て15分。アクセルは戻るのだがエンジンの回転が落ちないのだ。クラッチを切るが再びギアを入れることもままならず、泣く泣くエンジンを切り歩道橋の下に日陰を発見しそこへバイクを寄せた。

そんなに時間は過ぎていないだろうが集合時間に間に合うかどうか少々心配になり始めた頃、キャブのひっかかりはなぜか解消した。そして動くうちに家に戻りGSに乗り換えるか、またはこのまま行くかという決断に迫られた。
だいたいこのR69Sをガレージに入れて以来、家中がガソリン臭くてしょうがないのだ。

目の前の信号待ちで停車中の今風の車は何の問題もなく海へ山へと出かけて行くのだろう。気が付けば私もそういった車と共に集合場所へと向かっていた。
ガソリン臭のせいだろうか悪い脳ミソは判断力において一段と悪くなっているようだ。

談合坂SAに着くとすでにここのところご無沙汰だった大槻さんのサイドカーが見えた。エンジンを切る時ふと不安になる、またエンジンがかかるだろうか・・・・
キャブは相変わらず停車した場所にガソリンによるマーキングを忘れない。

体調をくずされていたらしい古本さん(
78歳)のいつもの元気な顔が1100RSと共に現れ幾分スマートになられたような気がする。程なくして、今回のツーリングのメンバー、奥本さん、高橋さん(大宮)、中島さん、吉川さんとぞくぞくと到着した。いつも時間ぴったりの須田さんも早めに到着。須田さんのお友達の堀井さんはV−MAXで途中までの参加である。

全員集合したところで双葉SAに向けて出発となった。
さすがに6月ともなると山の木々の緑は新緑とは言いがたい。葉の一年間を人の一生と見れば6月は二十歳少し手前位になるのであろう。

腹の底から響いてくるエンジン音と共にヘルメット下の首筋を通過していく山からの風はこの季節には珍しく湿度の少ない心地の良い物であった。目の前を60の中島さんが走る。大体120km/h走行。以前から不思議だった。この型の旧車で今風のバイクと一緒にツーリングできるということが。しかし、今こうして自分で乗ってみると初めてわかった。ちょうど戦争映画の戦闘機のブーンと言う音に似ている。その音をたてながらこのエンジンは良く回るのだ。

双葉SAで一服後、塩尻で高速を降りる。日産スカイライン博物館に立ち寄り歴代のGT−Rを見る。さすが人気車だけに各人それぞれの思い出話に花が咲いた。

昼食後
,宿に向かって走り出したが、途中またキャブのフロートが動かなくなったりしたが無事、奈川温泉(富貴の湯)【地図】に到着した。

駐車場にバイクを並べて置こうとすると中島さんがもう少し走りに行こうと言う。
確かにバイクを置いてのんびりするには少々時間が早い。この先すぐの所に「上高地乗鞍林道」がありそこから上高地方面に行くことにした。中島さん、奥本さん、私で走ることになった。乗鞍岳を見ながらのワインディングは快適でした。峠のレンゲツツジは平地ではとっくに終わっているがさすがに北アルプスでは今が見所のようだ。

宿に戻ると湯につかりビールを飲む者、釣りをする者、それぞれに初夏の山の宿を楽しんでいるようだ。大槻さんに山女(ヤマメ)一匹の山ノ神様の恵みが有った。私も釣り糸はたらしてみたのだが気がつけば頭上の枝を釣っていた。

奈川温泉の湯は中々良い湯だった。北アルプスに来れば白濁湯かと思っていたがここはうっすら白いお湯でほのかな薫りが有りとてもよかった。
宴会では宿の名物の投汁(とうじ)そばが出てきた食べ方がユニークで濃い口のシイタケ入りの温かい汁にソバをしゃぶしゃぶ風に食べると言うものだった。ソバは前月のツーリングで一年分食べたつもりだったが意外な食べ方に、ついお腹の中に入れてしまった。

朝、予報では雨だったが降っていなかった。皆いろいろのコースで帰るようだが私には雨の降る前に壊れないうちにすばやく我家のガレージに駆け込む以外考えられなかった。とりあえず全員途中「奈良井宿」の「道の駅」まで一緒と言うことでスタートした。「道の駅」で買物を買い終えた頃雨は本降りとなった。
合羽を着つつ濡れるR
69Sを見ていて、車体カバーをかけて走れないかと本気で思った。昔のトイレの悪臭抜きのごときエアークリーナーを見ると不安この上ないのである。しかし、すぐ横の中島さんのR60を見るとこの程度の雨など何の問題も無しとの感じである。

帰りは結局水冷エンジン状態で走る事となったが調子はすこぶる良く、双葉SA集合後流れ解散となった。
無事我家に着き今回は予備コイル、タイヤチューブなど何も持たないが何かあったら中島さんの知識と装備におんぶに抱っこの無謀な初乗りツーリングは終わった。

走り終えてこのR69Sのいろいろの面が見えてきたように思う。このバイクと言う前に旧車とどう向かい合うかと言うことである。しかし、パフォーマンスは想像を越えていた懐古趣味も少々あると思うが今となっては、その気持ちは10%以下でしかない。
GSの横に置いてある60年代のボクサーのバイクは走っているときも停車しているときも常に真珠のごとき魅力を感じさせてくれている。

   いつかGSもそうなってくれると思う・・・

ホテル前にて記念撮影
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