蕎麦食べ走りツーリング(信州戸隠))
2005年8月20日〜21日
町田の福田(R1150R)

8月20日

北陸方面は全く土地勘なく、戸隠地図】とは一体どの辺なのであろうか?えらく遠方に思えマップルで検索してみれば、日本海が指呼(しこ)の距離ではないか。やっぱり遠い・・・・と気合を入れ直し息子と共に家を出た。

集合地の中央自動車道「談合坂SA」に到着すると、探すまでもなく駐車場のド入り口にBM車あり、本日幹事の大槻さん、吉川さん、吉野さんが既に到着している。その後土方さん、奥本さん、岩瀬さんも順次到着したが、思いがけずも志村さんがかのドマーニに飲料・氷・酒等を満載して、差入れかたがた見送りにきてくれた。明日所用のため参加ができないので途中まで同行とのこと。しかしミイラ取りがミイラになることを、この時本人は知る由もなかった(結局、見送りは宿にまで至り、最後は皆の勧めに抗しきれず泊まることと相成った。堅い意思もことバイクに関われば如何にもろく崩れ去るか、会員諸氏も身に覚えがありましょう)。

かくて8時20分頃上記9名で高速に乗り出す。大槻さん志村さんのサイドカー以外はソロ、吉川さんは買い替えしたR1100RT(ブルー)のデビューである。

出発前のSAの溢れかえる車に混雑を予想したが、高速はむしろすいていた。登るにつれ遠く山々がかすみ、青空には丸い白雲が浮いている。まさしく夏の高原。こころなしか空気も乾いてきたようであるが、日差しはやはり強い。大槻さんをトップに連隊の巡航は快調この上なし。初めて後ろについたドマーニは車線変更を右に左にヒラリヒラリと、まるで瞬間ワープのように見える。諏訪湖を過ぎたあたりで長野自動車道に分岐、途中「八ヶ岳PA」「梓川SA」で休憩をとり、「豊科」で高速を降りた。

19号線をしばらく走ったあと51号線を一路北上。両側には緑の山々が迫り、道路わきには古い造りの民家がみえる。信号も殆どない直線路をひた走れば、時折ひまわりの黄色が後ろへと飛び去り、背中の暑さと共に真夏のツーリングを実感する。道はやがて31号線(大町街道)に変わり右折後36号線にのった。昼めし時となっていたが戸隠は近い、直行してうまい蕎麦を食おうということになり先を急ぐ。

時間の割には距離を稼ぎ、遠く感ぜられた戸隠も楽勝かと思われたが、好事魔多し、山間路に入ってから突然道路工事中の看板が出現、山越えの迂回路に入る。登りも下りもワインディングの連続で、しかも下りになってから細い1車線。ときおり左側路肩越し、はるか下方に小さな民家がかすんで見える。ガードレールはもちろん無く、飛び出したら一巻の終わりかと背中の汗もいっぺんに引く。幸い対向車もほとんどなく、ようやく戸隠の村に到着したのは1時頃であったか。あちこちに宿坊と蕎麦屋が目につく。其の内の一軒、森を背負った「宿坊楠川」【地図】に入り念願の蕎麦を食う。古い木造の大きな2階建て、上は宿泊部屋、下の数十畳はあろうかという広い和室が食事処である。本場の蕎麦を食しつつ、さわやかな山風が開け放しの部屋を吹き抜けて、まことに気持ちのよいひとときであった。

1時間ほど休んで出発、すぐ先の中社(戸隠5大神社のひとつ)の前で、群馬組の小柴さん、田中さん、前野さんと合流し総勢12名となる。駐車場所もままならず、中社への参拝は省略、再訪を思いつつ目礼して通りすぎた。と思うまもなく、幹線を右折し細いダートを50メートルほど辿れば、本日の宿「森の宿めるへん」【地図】である。高い基礎の上に山小屋風の木造、周りを見事な白樺林に囲まれ物音一つ無い静寂の中にある。旅装をとく前にまずは前庭でビール乾杯となった。

夕食まで時間はたっぷりある。各人それぞれに過ごすなか、私は大槻さんの案内で宿の裏手にあるスキー場を見に行った。奥本さん、前野さん、それに息子と連れ立ち、うっそうとした白樺林の中、熊笹に隠れるつま先上がりの小道を行く。大槻さんはかってスキーの準指ライセンスを有していた腕前とのこと、「森の宿」とはスキーの関係で永く懇意にされてきた由、冬になれば3メートルを越す積雪にすべてが埋もれるとの話しにただ驚くばかりである。それにしても当クラブの面々のBMに対する深い薀蓄(うんちく)もさることながら、時折かくれた余技・特技を耳にすることも小生にとってはツーリングの楽しみの一つである。

数分歩くと突然森が開け、眼前には広大なゲレンデが夏草をそよがせて横たわっていた。はるかに連なる山々の後ろには巨大な入道雲が湧き立ち、目に痛いほど純白の輝きを放っている。季節はずれのスキー場には人影とて無く、遠くに見える錆びついたリフトの大きな回転部、打ち捨てられたような数台の雪上車両はなんとはなし廃虚の雰囲気を漂わせ、この広大な明るさに奇妙な寂寥感を与えているように思われた。ゆるゆると流れていく時間と草原を吹き来る風。本当に久しぶりにゆったりとした時間を味わった。

夕食は6時から食堂で始まった。我々のほかに数家族が食事を取っていたが、やがて我々だけとなる。次々と酒の追加注文が出る中、いつしか土方講師の講義が前回(茨城ツーリング)同様始まった。抱腹絶倒。抱腹絶倒。あまりに笑ったためか講義内容はきれいに忘れてしまい、残念ながらココには載せることができない。

食後は食堂隣のしゃれた談話室に全員移って改めて飲む。奥には大きなストーブ、片隅には小さいながらもカウンターがあり、棚にはいろいろな酒瓶が置かれている。バーテンさんがカウンターのなかでウィスキーの水割りをつくっている。よく見ればなんと大槻さんではないか。スキーにくるたび勝手知ったる一角でバーテンダーに変身の由、名水戸隠ウォーター(実は水道水、しかし本当にうまい水である)でつくる水割りはまことにすいすいと胃袋に収まる。話に花を咲かせ、皆が引き上げたのは12時頃か。

     
8月21日

翌日は宿で解散となった。出発前に証拠写真(かざしているシャツは干しているのではありません、連隊旗の代用です)

そして8時半頃、宿のご主人やご家族の見送りの中、三々五々帰路についた。

暑さのなか参加の諸氏、お疲れ様でした。
大槻さん幹事役ご苦労様でした。





【参加者名】奥本、小柴、田中、土方、前野、志村、大槻、吉川、福田(息子)、吉野、岩瀬、福田
写真提供:奥本氏

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